この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
私の想像が当たってるなら、色んなことのつじつまが合う。
専務の息子の赤毛さんでさえ部長なのに、なんのコネも無い銀が、いくら成績が良くてもあの若さで部長になってることが不思議だった。
それは社長と怜香さんのバックアップがあったから?
なら、あのメールに書かれてた通り、銀の将来は約束されたも同然。確実に重役だ。
子供まで居て、あんな楽しそうな休日を過ごしていて、どうして私と付き合ってたの?
どうしてなの? 銀……
やっと頭が回転し出したと思ったら、涙が溢れ出す。
「神埼さん、医務室へ行ってらっしゃい」
橋倉さんが優しく背中を撫でてくれた。
「そうする……」
立ち上がろうとするとめまいがしてフラフラしながらオフィスを出る。
まるで夢の中に居る様で、あのことをまだ現実として受け入れられないでいる。でも多分、あれは事実。
やっとの思いで医務室のドアを開けるが、おばあちゃんは留守。勝手にベットに潜り込み目を閉じる。
考えなくちゃいけないことが多すぎて眠ることなんて出来ない。
一度だけ、勇気を出して銀の携帯に掛けてみた。でも、やっぱり圏外。
堪えていた涙が枕を濡らし、我慢出来ず声を上げて泣いた。
そこへ橋倉さんから聞いたと赤毛さんがやって来て、私の寝てるベットの隅に腰を下ろす。
「今、専務室に行って確認してきたが、あのメールは来てなかった。どうやら、営業部だけだったみたいだな」
「そう……」
もう、そんなことどうでも良かった。
「大丈夫だから……なっ?」
優しく頭を撫でてくれる赤毛さんの腰に抱きつき、また泣いてしまった。
銀……銀……
心の中で何度銀の名を呼びながら――