この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
その夜、横田さんに電話して華が喜んでいたことを伝えると、横田さんは電話の向こうで号泣していた。
早速、明日会いに行くと浮かれてる横田さんに、私は橋倉さんのことを嫌味混じりに文句を言ってやった。
『あぁぁ……ごめん。別に隠すつもりはなかったんだよ。彼女が自分で話すって言うから……』
「横田さんが誰と付き合おうと自由だよ。だけど、なんで橋倉さんなの?あの人、もう結婚するつもりでいるんだから。
子供の心配なんかしちゃって参ったわよ。それに、私のこと娘になるなんて言ってるし、横田さんからもちゃんと言っといてね」
『言うって、何を?』
「もう! だから、結婚なんてしないってことよ」
『えっ? もうプロポーズしちゃったんだけど……』
チーン……って音が聞こえた様な気がした。
「冗談……だよね?」
『ホントだよ』
「いつ?」
『ついさっき』
遅かった……
ピッ……何も言わず携帯をブチ切る。
もう手遅れだ。仏滅と天中殺と大殺界と厄年が重なったような日だ。立ち直れない……
――次の日
アポから直帰するついでに、華を保育園に迎えに行き、帰って来るとキャサリンママがお店で青ざめてた。
「どうしたの? ママ」
「どうしたのじゃないわよ! 横田さんが来てるのよ! 今、ミーメちゃんの部屋で待ってる」
「そう、来ることになってたのよ」
私がそう答えるとママが髪の毛を振り乱し、突進してくる。
「ななな、何?」
「あの飲み逃げ女と一緒に来てるのよ!」
「はぁ~? 橋倉さんと?」
ママには横田さんが父親だってことは話していたが、橋倉さんと付き合ってるってことは言ってなかった。
「あのふたり、腕なんか組んじゃって、トロンとした目で見つめ合ってるのよ! ミーメちゃん、どういうことか説明してよ」
「あぁ……デキてるのよ。あのふたり。結婚するらしよ」
――ドサッ……
ママは白目をむいてブッ倒れた。
横田さんが私の父親だと言った時より、いいリアクションだ。