この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
○7年目の真実
"プロポーズ"されてから、初めて銀と会社で顔を会わせた。と、言っても、会話をしたワケじゃなく、朝礼で銀が今日の報告事項を伝えてる姿を見てる状態。
一通りの報告が終わると銀は少し間を置き「もう一つだけ……」と話しを続ける。
「プライベートなことで悪いが、実は、俺は社長の息子だ」
えっ? 言っちゃっていいの?
オフィスは一瞬、静まり返り、そして数秒後、女性社員の歓喜の叫び声があちらこちらから上がる。
「今まで黙ってて悪かった。以上!」
「へっ?」
それだけ? もっと言うことないの?
ポカンとしてる私を銀が呼ぶ。
「神埼君、部長室に来てくれ」
「あ、はい」
まだ興奮冷めやらぬ社員たちを気にしながら、慌てて銀の後を追いかけ部長室に入ると入り口に立っていた銀が後ろ手でドアの鍵を掛けた。
妖艶な瞳で私のこと見下ろす銀にドキッとしてしまう。
「……銀?」
何も言わず、不意に抱き寄せられるといきなりキス。
「裸になれ」
「ぶほっ!!」
朝っぱらから、なんちゅーことを言うのよ! とテンパりながらも、まんざらでも無い私。すっかりソノ気になって、ホントに脱いじゃおうかな~なんてソワソワしていたら――
「……と、言いたいとこだが、キスだけにしとくか」
「へっ?」
「別に脱ぎたいなら止めねぇけど?」
なんて言いながら、ニヤリと笑いデスクの椅子に腰掛ける意地悪な銀。
脱ぐ気満々だった自分に思わず赤面。
「こっち……来いよ」
「……うん」
差し出された手を握り、銀の膝の上にチョコンと座るとまた強く抱きしめられる。
「ねぇ、社長の息子だって言っちゃって良かったの? あんなに嫌がってたのに……」
「んっ? まあな、ケジメってやつだ。いつまでもガキみたいに反抗してても仕方ねぇし。どうせいつかはバレるんだ。それなら俺の口から言った方が社員たちの動揺も小さくて済む。
それに……俺も守らなきゃいけないモノが出来たからな。腹くくったんだ」
「どういうこと?」
「親父たちに、プロポーズしたって言った。好きな女と結婚するってな……」
それは、願ってもない嬉しい言葉だったけど、銀の声は沈んでいた。
「……反対されたんだね?」
「あぁ……」
やっぱり、そうか。