この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
○マジかよ!!
――12月24日(土) クリスマス・イヴ
銀が迎えに来るのは、午後3時。気合を入れ、おニューのスーツに袖を通す。髪は一つにまとめ、メイクは派手にならない様に好感度を上げるナチュラルメイク。
よっしゃ~! 完璧だ!
お店で銀が来るのを待ってるとママがひょっこり顔を出す。
「ミーメちゃん、いよいよだね。なんだか私まで緊張してきたよ」
ママの顔は強張り、目が血走ってる。
「ママが緊張してどーするの?」
平静を装って笑った私の顔も引きつってる。
「いい? 強気でいくのよ。引け目なんて感じちゃダメ! ミーメちゃんは銀ちゃんの奥さんなんだから」
「……分かってる」
ママにムギュと抱きしめられると店の扉が開いた。
「銀……」
「用意は出来てるか?」
「う、うん」
ママが銀の手を取り、何度も頭を下げてる。
「銀ちゃん、ミーメちゃんのことお願いね。ご両親に認めて貰えるよう祈ってるから……」
ママ……私とは赤の他人なのに、こんなに心配してくれてる。ママは私にとって、肉親よりずっと大切な家族なのかもしれない。有難う。ママ。私、頑張るから。
感極まってウルウルしていると銀が不思議そうな顔で呟く。
「ミーメ、ハナコはどうした?」
「へっ? 華? なんで華?」
「何言ってる。ハナコも一緒に連れてくんだよ」
「えっ、そうなの?」
「ハナコは俺の娘なんだから、当然だろ?」
「あ、そっか……」
2階で昼寝してた華を起こし、一応、一番いい服を着せ、まだウトウトしてる華を抱いて銀の愛車のポルシェに乗り込む。
滑る様に走り出した車。華を強く抱きしめながら心に誓う。
華の為にも、なんとしても、私と銀のこと認めてもらわなくっちゃ。