この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「むす……こ?」
あの子が……お母さんと社長さんの子供? あぁ、そう言えば、社長さんに天ぷらをご馳走になった時、ペンギン好きの息子が居るって言ってた。
待てよ……そうなると、ややこしいことにならないか? お母さんの息子となると、私の弟。そして、社長さんの息子なんだから、銀の弟ってことにもなる。
ひぇ~なんじゃそりゃ~!
「ミーメちゃん、可愛い弟が出来て嬉しいでしょ?」
お母さんは悪びれる様子もなく、またケラケラ笑ってる。
「嬉しいとか、そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?」
「どうして?」
「もぉ~私の頭の中ゴチャゴチャだよ~」
混乱しながらも必死で頭を整理していると、また新たな疑問が浮上した。
「ねぇ、お母さんと社長さんが結婚してるってことは、私と銀は兄妹ってこと? て、ことは……私と銀は、兄妹で結婚しちゃったってこと?」
まさか、ザ・禁断?
「えっ? 何? ミーメちゃんと銀之丞さん、もう結婚したの?」
そうだった。お母さんは私たちが結婚したこと、まだ知らなかったんだ。
銀が胸を張り、堂々と「結婚した」と答えている。するとなぜかお母さんは嬉しそうにニッコリ笑った。
「あらまぁ~結婚しちゃったの? しちゃったものは仕方ないわね~」
慌てたのは怜香さんだ。
「お母様、銀之丞には、頭取のお孫さんとの縁談が……」
「あら? 怜香さんは、私の娘と銀之丞さんが結婚することに反対なの?」
「あ、いえ……でも、お母様が素性の知れない女とは、どんな手を使っても別れさせろって……」
「素性は分かったじゃない。私の娘よ。全く問題無いじゃない? 頭取の孫娘なんて断ればいいのよ。それとも何? 怜香さんは、私の娘が銀之丞さんと結婚することに不服なワケ?
そう言えば……あなた、ミーメちゃんのことを貧乏臭いとか言ってたわよね? 私の娘を侮辱するなんて、なんて人かしら……」
お母さんに睨まれ、怜香さんが焦りまくってる。
「す、すみません。お母様が認めるなら……私に異論なんて……」
うそ……あの怜香さんがビビっている。