この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
神前に座ってる羽織袴の銀の後姿を見て、胸が熱くなる。
カッコいい。スーツ姿もいいけど、着物姿はマジそそる。
ニヤけながら銀の隣に座ると銀が眉間にシワを寄せ、親族席をチラ見した。
私達を挟んで、新郎と新婦の親族が向き合い異様な視線が絡み合ってるのがモロ分かりだ。
横田さんと社長さんは、決して視線を合わせ様とはしないし、お母さんと橋倉さんはガンの飛ばし合い。
あぁ~悪い予感は的中した。
険悪なムードのまま、式は厳かに進んでいく。笙の音に合わせ巫女さんが舞を披露していても、気になるのは親族席。神主さんの言葉も上の空だ。
そんな状態だったから、献杯の礼。三三九度は、ちょっと口を付ければいいと言われてたことをすっかり忘れ、一気飲み。おまけに、あまりの美味しさに「おかわり」とか言ってしまい、巫女さんが吹き出し、神主さんがムッとする。
「ミーメ、ふざけるな!」
とうとう銀も怒り出し、指輪の交換を拒否。
「ぎ~ん、怒んないでよ~」
銀をなだめていたら、親族席から「オエッ!!」というエズく声が聞こえてきた。
ヤバい! 橋倉さんがツワリで今にも吐きそうだ。
「ウェッ……もう、ダメ……」
「橋倉さん! 吐くなら、外で……」
しかし、時既に遅し。吐いちゃった……
その後、何がなんだか分からないまま式は終わり、神主さんが最後に呟いた「バチが当たる……」と言った一言と、引きつった顔だけがヤケに印象に残った結婚式だった。
そして私と銀は写真撮影へと向かい、撮影が進むにつれ、銀の機嫌も直り、撮影の最中に「その着物、脱がしたい」なんてエロいことを言うから、思わずその場面を想像して大興奮!
「花嫁さん、ヨダレ出てますよ~口は閉じて下さーい」
「あ、はい。ジュル……」
すると銀ったら「今夜は初夜だよな。寝かせねぇぞ……」とダメ押し。
「ブホッ!」
「うあぁぁー! 花嫁さーん! 鼻血ー! 」
て、ワケで、ホラーみたいな血まみれの花嫁になっちゃったけど、めっちゃ幸せだ。