この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止


長ったらしいお祝いの言葉に飽きてきて、目の前の料理を少しつまみ食い。


「んっ! 美味しい!」


お腹がすいてたから、もう我慢出来ない。ナイフとフォークを持ち、本格的に食べだすと銀が「食うな!」と睨む。


「だって~お腹ペコペコなんだもん」

「花嫁は普通、食わないもんだろ?」

「そうなの?」


すると司会者が『それではお色直しの時間です』なんて言いやがる。


「あ~ん。まだ食べてないのに~」


未練タラタラの私を銀が引きずり退場。


そして、次は純白のウエディングドレス。待っていたのはタキシード姿の銀。


「やん! 男前~」

「ほーっ、そのドレス、意外と似合ってるな。襲いたくなる」


そう言って、銀が私の額にキスをする。


「銀、襲って……」

「バカか? お前は……」


『お待たせ致しました。次は、新郎新婦によるキャンドルサービスです』


銀の腕にそっと自分の腕を絡め、今度は何事もなく無事に登場だ。


各テーブルを回り、ロウソクに火を点けて行く。


すると暗闇の中、華の声が聞こえてきた。誰かが華の座ってる椅子の横で喋っている。


「ねぇ、このピョンコリーナちゃんはどこで手に入れたの?」

「ゲーセンのUFOキャッチャーだよ」

「えっ! ゲーセンって、なんかの芸の専門店のこと? そこにはUFOが出現するワケ?」

「おじちゃん、何言ってんの? UFOチャッチャーって、ただのゲームだよ。パパに取ってもらったんだから~」

「何? 銀之丞に? そのピョンコリーナちゃんは、凄い珍しい代物なんだ……ちょっとだけ抱かせてくれる?」

「ヤダ!!」

「すぐ返すから……お願いだ……」


必死になって華に頭を下げてる副社長さん。


「兄貴……何してる?」

「おぉ! 銀之丞! 俺もゲーセンとかいう所のUFOに連れてってくれ!」

「……アホか?」


銀が完全無視すると副社長さんは後ろから私たちの腕を掴み、"UFO、UFO"と連呼してる。


「兄貴、いい加減にしろ!」


銀が堪らず副社長さんの手を振り払った直後、持っていたトーチの火が副社長さんのスーツに触れた。


「うおぉぉぉー!!」


副社長さんの上着が炎上。周りの人が慌てて駆け寄り、火ダルマになりかけた副社長さんを助けようと彼の体を叩きまくる。


すると、けたたましい音の非常ベルが鳴り響き、スプリンクラーが作動して大量の水が天井からシャワーの様に降ってきた。お陰で関係無い人まで全員がびしょ濡れ。


「……ミーメ、披露宴が終わったら、俺は兄貴を殺す」


ずぶ濡れの銀の目がギラリと光った。


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