この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
お母さんの思惑にまんまと乗せられ、舞い上がってる私。気分はすっかり社長夫人だ。
副社長さんには悪いが、社長は銀の方が適任だ。
ーーそれから6日後……
明日は土曜日。
また銀との熱い夜が待っていると思うと朝から興奮気味。浮かれながら出社し、自分のデスクに座った直後、スーツのポケットで携帯が震え出した。
朝から誰だろうと思い、携帯を確認して驚いた。
あら、珍しい。亜希菜だ。
「もしもし、亜希……」
『ミーメ! ごめん!』
いきなり謝ってくる亜希菜に面食らっていると、更に亜希菜は『ごめん』を連発。
「どうしたのよ? なんで謝るの?」
『私、ワザとしゃないのよ。そう! 神に誓って、ワザとじゃい!』
「だからぁ~何がワザとじゃないのよ」
『私、てっきり旦那さんの友達だと……ちょっと酔っ払ってたし、まぁいいか! って思っちゃって……』
なんのことやら、サッパリ分からん。
亜希菜はひたすら謝り、今から仕事だからと一方的に携帯を切ってしまった。
なんだったんだろうと首を捻っていたら、オフィスのドアが凄い勢いで開く。
「じょ……常務?」
社員たちの慌てた声が聞こえる中、お母さんは周りには目もくれず、真っ直ぐ私に向かって突進してくる。
「ミーメちゃん! これは、いったいどういうことよ!」
そう言って、お母さんは私のデスクに雑誌を投げ捨てる。
これは……副社長さんのことをケチョンケチョンに書いてたあの雑誌の最新号だ。
「ここを見なさい!」
お母さんが指差したページにはーー
『大企業特集、第2弾! 鳳来物産の闇を斬る!! 長男だけでは無かった。驚愕!! 次男は変態だった!!』という見出しが踊っていた。
「はぁ? 銀が変態ですって〜?」
絶叫しながら雑誌を手に取ると、そこには、正しく驚愕の記事が綴られていた。
「うそ……でしょ」