この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
『鳳来物産の次期社長と噂される次男、沢村銀之丞氏に、ある疑惑が発覚した。それは、犯罪者ではないかという疑惑だ。
数年前、女子高生の下着を盗んだと証言する者が現れたのだ。
そのA子さんの話しでは、彼女の友人が被害に合い、たまたま街で見かけた銀之丞氏をタクシーで尾行したことがあったと言うのだ。
我々は、それが真実なのかを確認する為、その女子高生を乗せ、尾行したというタクシー運転手を探し出し、真相を尋ねると、確かにそんなことがあったと証言したのだ。
長男に続き、次男までもが人格を疑われる行動をしていたという事実に、我々は驚きを隠せない……』
なんじゃこりゃ……亜希菜が謝ってきたのはこのことか。アホらしいけど、えらいこっちゃだ。
オフィスの騒ぎを聞きつけ銀が顔を出す。
「なんの騒ぎだ?」
「沢村部長! これは、どういうことなの? 私がせっかく副社長を失脚させてあげたのに……台無しだわ!」
怒り狂うお母さん。
「やれやれ…」と銀が面倒くさそうに雑誌を手に取り、その記事に目を通す。
そして一言「アホらし……」と一笑した。
すると、今度は血相を変え、怜香さん飛び込んできたんだ。
「おかあ……いえ、常務! 大変です! マスコミが週刊誌の記事は本当かと取材の申し込みが殺到してパニック状態です」
舌打ちをしたお母さんがスクッと立ち上がり、開き直ったのか……「会見を開きます!」と大声で叫ぶ。
「記者会見ですか?」
「そうよ。なんとしても下着泥棒の疑惑を晴らさなくては……私も同席するから、沢村部長も自分の口でちゃんと否定しなさい」
「俺は忙しんだ。そんなことしてる暇なんて無い」
「鳳来家の危機なのよ! まさか……思い当たることがあるんじゃないでしょうね?」
怒りに震えるお母さんが銀を睨む。
「あるワケねぇだろ!」
あぁ~違うんだよな~銀は下着泥棒なんかじゃない。
「なら、堂々と否定しなさい!」
「ふん!」
だって、これは私がついた嘘なんだから……
「怪しいわね……」
「ふざけんな! どうして俺がパンツ盗んで興奮しなきゃいけねぇんだ! シたくなったら、生身の女とスるってぇの」