この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止


しかし、困った。まさか、あの時のタクシーの運ちゃんまで登場してくるとは……


「怜香さん、社長にも記者会見のことを伝えてちょうだい。あ、それと、このガセネタを週刊誌に売ったA子とやらが誰なのかも調べて」


えっ! マジ?


「分かりました。で、突き止めて、どうします?」

「そんなの決まってるでしょ? 名誉毀損で訴えてやる。どんな手を使っても抹殺してやるわ!」


ヤバい。亜希菜が抹殺される!


「それより常務、そもそも、下着を盗まれたという本人を探し出す方が重要なのでは?」


えっ? 私?


「……そうね、その張本人を突き止めないとね。どうせそんな女に限って、性格の悪いどブスよ」


ははは……あなたの娘ですぅ~


はぁ~せっかく銀と結婚出来て、何もかも順調だと思ってたのに……


「……ねぇ、銀」

「んっ?」

「面倒だから、下着泥棒だって認めちゃえば?」

「はぁ~?」

「私は銀が変態でも好きだよ」


すると銀が、私を抱き寄せ耳元で囁く。


「実はな、下着泥棒ってぇのは、あながち嘘じゃねぇんだ。ボロアパート出る時、ミーメのパンツ1枚盗んだ……」

「へっ?」

「イチゴのパンツだ」

「……マジ?」

「ミーメだと思って、大事に肌身離さず持ってた。ほら、今も持ってるぞ」


銀のスーツの内ポケットから出てきたのは、見覚えのあるイチゴのパンツ。


ガーン!


「ヤダ! 返して!」

「バカ! やめろ!」


奪い合っていたイチゴのパンツが極限まで伸び、ゴムが弾けると、私たちの手を離れヒラヒラとオフィスを舞う……


儚げに舞い下りてくるイチゴのパンツを、そこに居た誰もが呆然と見つめてる。


そして、私は心に誓う。二度とイチゴのパンツは買わないと……



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