この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「もしかして、お前、俺がお前のこと襲うとか心配してるのか?」
「ぐっ……」
「バーカ! 自惚れたこと考えてんじゃねぇよ。俺はそんなに女に不自由してないつーの!」
胸がズキンと痛んだ。
「そんなこと考えてないよ! 今から寝ようと思ったとこだよ! それ終わったら、サッサと帰ってよね」
売り言葉に買い言葉。強がってる自分がバカみたい。
キッチンとこの6畳間しかない狭いアパート。寝る場所はここ以外ない。押し入れから布団を出し、敷き終えると銀之丞に背を向け横になる。
カタカタカタ……
キーボードの音は止むことはない。
何よ! 高校生だと思ってバカにして! 私、これでも経験アリなんだから~十分、大人の女なんだからね!
カタカタカタ……カタカタカタ……
――んっ? 私、いつの間にか眠ってた。あれ? キーボードの音がしない。もしかして……帰った?
振り返ろうとした時だった。私の頭を優しく撫でる手――
えっ? うそ、銀之丞?
体が固まって動かない。
ドキドキドキ……
もしかして、このまま……期待と不安でごっちゃ混ぜの私。すると彼が小声で小さく呟く。
「バカなヤツ……無理しやがって……親に捨てられたて辛くない訳ないだろうが」
あ……
その優しい声に胸がギュッと締め付けられた。
銀之丞って、優しい人なんだ……