この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
暫くの間、私は寝たふりをしながら彼の大きな手から伝わってくる温もりに心癒されていた。
銀之丞……不思議な人。
その時――んっ? えぇっ? うそ?
私の布団の中に潜り込んでくる物体が―――
マジ? 銀之丞、さっき私なんか興味無いとか言ってなかった? 女には不自由してないって……ハッタリかよ? それとも私の魅力に悩殺されたとか? うんうん。それはあるかも……
自問自答を繰り返しながらも体は緊張でガチガチ。
どういうリアクションとったらいいのかな? 簡単に受け入れるのって、やっぱ軽く見られるよね。少しくらい抵抗するべきなのか?
て、私ったら、スる気満々? ヤダ、違う。決して、そんなつもりじゃ……
でも、銀之丞って、どんな顔してキスしてくるんだろう。性格はどうであれ、顔は私の好み! ストレートのど真ん中! 頭の中が妄想で爆発しそう……
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なのに……あれ?
背中越しに聞こえたきたのは、穏やかな寝息。
ゲッ! うそでしょ? もう寝てる?
あぁ~つまり、アレだ。コイツにとって私は"女"ではなく、ただのガキんちょってことなんだ。勝手に期待して、勝手に撃沈。
「ハァ~アホらし……もう寝よ」
ゆっくり瞼を閉じながら、ふと思う。
今日という日を、おそらく私は一生忘れないだろうと……おやすみなさい。