この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「どうしよう~亜紀菜ぁ~退学になったら亜紀菜ママのお弁当食べれなくなるから」
「そっちかよ! とにかく、なんとかしなきゃ……」
「でも私、下宿なんて無理だよ。お金無いし」
「だよね……」
結局、名案は浮かばず、放課後―――
家庭訪問のプリントの提出期限は明日。どうすりゃいいのか……四面楚歌状態だ。
部活に行く亜紀菜を見送り、帰宅部の私は校舎を出てダラダラと校門を目指す。
問題山積み。うら若き乙女の私が、どーしてこんなに苦労しなきゃいけないの?
ため息を漏らし、校門に差し掛かった時だった――
「よう! 迎えに来てやったぞ!」
「はぁ~?」
まさかまさかの銀之丞!
「なんで? どうして?」
「何が? どうした?」
トンチンカンな会話……
「ここで、何してんのよ」
「だから、お前が出て来るの待ってた」
実に爽やかな笑顔の銀之丞。
「私、高校の名前とか言ってなかったよね。なんで分かったの?」
「あぁ、市内にある高校の制服は全て覚えてる。お前の制服見て、すぐに桜ノ宮高校って分かった。まぁ、お前はこの高校のレベルが妥当だな。進学率も低いし、アホでも卒業出来る」
「おい! シバくぞ!」
私が怒ってることなど気付きもしないのか、銀之丞はあっけらかんとした顔で「今日の夕飯はなんだ?」とか聞いてくる。
今朝のあのシンミリした別れはなんだったのか……切なさに胸を締め付けられた私の立場は……でも、銀之丞に、また会えたことが嬉しかったのも事実。