この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「どうして?」
問い詰める私に、銀は多くを語らなかった。
ただ……「俺も、もうすぐ卒業だ。いつまでもこんな生活してられねぇしな。ミーメにも楽させてやりたいし……」そう言って笑った。
銀の本心が分からない。
その日の夜、銀はいつも以上に私の体を何度も求めてきた。
「ぎぃ……ん……っ」
私の髪を撫でる手は、とても優しくて、首筋に触れる唇は、ほんのり温かい。頭の上で重なり合った手は、お互いの愛を確認するみたいに強く握られる。
「ここに居て……銀。どこにも行かないで?」
揺れる銀の体を抱きしめた私の頬を涙が伝う。
「住む場所が決まったら迎えに来る。それまで我慢しろ」
そう言うと銀の動きは一段と激しくなり、深く突き上げられ私の思考回路は麻痺していく……
「俺を信じてればいいんだよ」
「う……ん」
信じたいよ。銀のこと信じたい。だって、銀が居なくなったら、私、また独りぼっちだもん。もう、大切な人を失うのは嫌だ……
何度も果てた体は疲れきり、知らぬ間に私は眠りに堕ちていた。
――カーテンの隙間から眩しい朝日が降り注ぎ、いつもと変わらぬ朝を迎える。
でも、私の隣りに銀の姿は無い。
そして、銀は二度とこのアパートに帰ることは無かった。