この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
私の予想は的中!「まるで刑事ドラマみたいだ!」と舞い上がる運ちゃん。
前を走る黒塗りの車の後ろにピッタリくっ付き、いい仕事してくれる。
車は住宅街へと入って行き、真新しいマンションの前で止まった。私たちを乗せたタクシーは少し離れた場所に停車し、その様子を伺う。
「あのイケメンが下着泥棒? ミーメのしょぼいパンツをわざわざ盗まなくてもタダでくれる女、山ほど居るんじゃない?」
いつもの私なら亜紀菜の台詞に突っ込みを入れるとこだけど、今はそれどころじゃない。
車から降りたのは銀1人。足早にマンションへと入って行く。
銀のスーツ姿初めて見た。私の知ってる銀とは別人のよう……でも、どうしてなの? 住む場所が決まったら連絡してくれるって言ったのに…もう私のことなんて忘れちゃったの?
彼に聞きたいことは山ほどあった。
でも今、私が現れたら、銀はどんな顔するだろう。
連絡をくれないってことは、私に会いたくないってことかもしれない。迷惑だって顔されたら、きっと私、立ち直れない。
「車、出して下さい」
「えっ? 犯人捕まえなくていいの?」
亜紀菜と運ちゃんが驚いた様に声を上げる。
「違ってた……私の勘違いだったみたい。ごめんなさい」
銀が凄く遠いとこに行っちゃったみたいで寂しくて堪らない。
けれど、よくよく考えてみれば、私が銀を好きになったこと事態
間違いだったのかもしれない。
お金持ちのお坊ちゃんの銀と私じゃ、まるっきり住む世界が違う。そんなの初めっから分かってたこと。
きっと、私との貧乏な暮らしに嫌気が差したんだ。