この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
さっきまでの勢いはどこへやら。恐る恐るドアの隙間から中を覗いてみると静まり返った部屋は真っ暗だった。
「……おじゃましま~す」
一応、礼儀正しく小声でそう言って玄関に入ると、まるでコソ泥みたいに足音を消しながら長い廊下を歩き、突き当たりの扉を開ける。
暗くてもなんとなく分かる。広くて立派なリビングだ。ウチのボロアパートとは大違い。
やっぱり銀はこんな生活の方がいいんだよね。
少し暗闇に目が慣れると目の前に大きなソファーがあるのがぼんやりと見え、そこから微かな寝息が聞こえてくる。
そっと顔を覗き込み声をかけてみた。
「銀……?」
うっ……お酒臭っつ!
「んんっ……」
銀の目が少し開いた様な気がした……と、突然、銀の両腕が私の背中にまわされ広い胸に引き寄せられる。
う、うっそ?
一瞬抵抗したが、懐かしい銀の温もりが私の全身の力を奪っていく。
「あぁ、銀……」
そして銀の柔らかい唇が私の唇を塞ぎ、濃厚なキスの嵐。
別れ話しをしに来たつもりだったから戸惑いを隠せない。でも、そのキスを拒むことは出来なかった。
だって、私はまだ、銀のことが好きだから……
銀の強引なキスに身を委ね自らもキスを返す。
「んっ……っ」
少し乱暴に脱がされていく服――そして、フカフカのソファーの上で
数ヶ月ぶりに私は銀に抱かれた。
悦びで胸が熱くなり、心が満たされていく……
私は銀に捨てられたんじゃなかったの? まだ、私を好きでいてくれてたの?