この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
銀のバカ! 銀なんて大嫌い!
これでハッキリした。アイツは私のことなんて綺麗サッパリ忘れて
新しい彼女と楽しくやってるんだ。
上等だよ! あんな男こっちから願い下げだ!
心の中でそう叫びながら必死で涙を堪える。
爽やかな夏の朝が余計に切なさを増していった――
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電車代を節約して歩いて帰ったからアパートに着いたのは1時間後。外階段を上がり部屋の前に立つとドアの新聞受けに押し込められてる一枚の紙に気付く。
それはアパートの大家さんからのもので、至急連絡してほしいと書いてあった。
銀が居なくなって収入が減り、もう5ヶ月分ほど家賃を滞納していた。
嫌な予感は的中。
「悪いけど、家賃が払えないなら出てってほしいのよ。実はね、入居したいって人が居るのよね~明日、部屋を見に来ることになってるから今日中に片付けといてくれる?」
「えっ……そんな急に言われても……」
「こっちも生活が掛かってるのよ。今まで待ってあげてたけど、もう限界。今月分が払えなかったら出てってもらうって言ってあったでしょ?」
何も言えなかった。悪いのは私。頷くしかなかった。
部屋に入り、泣きながら荷物をまとめる。
キャリーバックに必要な物を詰め込み残りの荷物は処分してくれるよう大家さんに頼んで部屋を出る。
一度だけ振り返ってみた。
ここに居れば、男に振られたお母さんが帰って来るかも……そんなことを考えたこともあったな。
そして、銀との思い出が一杯詰まった場所だった。
全て失った私は、これからどこに行けばいいんだろう……