この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

ブス男も私と同じことを思ったのか「50円ですか……?」って不服そう。


結局、交渉は物別れ。ブス男は早々にファミレスを出て行った。


すると美人さんは、おもむろに携帯を取り出し誰かに電話をしだした。


「あ、私……うん。ダメだったわ。困ったわねぇ~もう頼める人居ないわ」


美人さん困ってるんだ……私も困ってる。困ってる時は助け合わなきゃいけないよね。


勝手な理屈だと言われようが、この際そんなことどうでもいい。


時給3050円なら、なんでもするよ!


「あの、私じゃダメですか?」


美人さんの前に立ちはだかる私。目ん玉が飛び出しそうなくらい大きく目を見開く美人さん。


「あなた……誰?」

「神埼美衣芽です! 絶対に後悔はさせませんから私を雇って下さい」


私はさっきまでブス男が座ってた椅子に断りも無く座ると自分がどれだけやる気があるかを切々と訴えた。


「……それで、あなた歳はいくつ?」

「あ……、ハ、ハタチです!」


嘘ついた。


「ハタチ? どう見ても17歳って感じだけど?」


す、するどい……


「童顔なんです。でも、体は立派な大人ですから」

「立派な大人? ププッ」


美人さんはアイスティーを飲みながらケラケラ笑う。


「いいわ。それだけの覚悟があるならお店のママに会わせてあげる。でも、雇ってもらえるかは分かんないわよ」

「はい! 宜しくお願いします」


なんか変な展開になっちゃったけど、贅沢は言ってらんない。生きる為だ!


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