この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

そうと決まれば、スーパーのバイトは辞めなきゃいけない。携帯を持ってない私はこっそり外の公衆電話からスーパーの店長に電話して辞めさせて欲しいと伝えた。


もうここで頑張るしかない。


お店が開店するまでの間、私は6畳ほどの畳部屋の掃除を始めた。


物置と言っても、それほど物は無い。その代わり、今まで見たことの無い山盛りのホコリが雪の様に積もっている。


なんとか掃除を終え、ママに報告するとお店に出る時に着る服はあるのかと聞かれた。


「どんなのがいいんですか?」

「そうね~アンタだと、可愛い感じのがいいかもね。コスプレなんかいいんじゃない?」

「コスプレっすか?」


うーん……そんなの持ってないなぁ~


キャリーバックを開け、考えること数分。


そうだ、コスプレと言えばこれだ!


開店時間が迫り、着替えてお店に下りて行くと私を見たママが眉を顰める。


「何、その格好」

「えっ? コスプレって言ったら、コレでしょ?」

「女子高生ってワケ?」

「はい」

「………」

「ママ?」

「アンタ、ハタチとか言ってたけど、ホントはいくつなの?」


あれれ? なんかヤな雰囲気。


「それ、桜ノ宮高校の制服だよね? あの高校の制服は2年前に変わったばかりよ。その新しい制服持ってるのは、今現在、高校行ってる1、2年だけ」


ひぇ~…ママ、詳しすぎるよ。


冷や汗ダーダー。鳥肌ゾーゾー。


「恐れ入りました。17歳です」


白状してしまった……


「ったく……17歳の子を働かせたなんてことがバレたらエラいことになるよ」


ママの表情が一気に曇る。


「あの、私……クビですか?」


それ、絶対困る。スーパーも辞めちゃったし住むとこも無い。そんな私を雇ってくれるとこなんてあるはずないもの。



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