この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
その日、お店が終わってからお母さんのこと、銀のこと……私の過去をママとミミさんに全て話した。
何も言わず話しを聞いてくれた2人の瞳には涙が溢れていた。
今まで愛する人に捨てられ、裏切られた私だったけど、こうやって自分のことで涙を流してくれる人が居る。それだけで、なんだか救われた気分だった。
「私たちは家族なんだから、なんにも心配しなくていいのよ。お腹の子のことはもう少しゆっくり考えなさい」
「うん……」
考えるってことは、産むか、堕すか……って、ことだよね。
正直、どうしていいのか分からなかった。
答えが出せないまま数日が過ぎた頃、ママが突然とんでもないことを言い出したんだ。
「あのね、お腹の子のことだけど、産んで欲しいの」
「えっ?」
「その子を私の養子にしたいのよ」
「はぁ?」
仰天してる私の手を握り、ママは切々と話し出す。
「私達はね、手術して見かけは女の体になったけど、所詮、男……
子供を産むことはできないのよ。
でもね、私、子供が大好きなの。自分の子供が欲しいのよ。
ミーメちゃんが妊娠したって分かった時からずっと考えてた。その子、私に育てさせてくれない?」
ママの目は真剣そのもの。冗談で言ってるんじゃないってことは分かった。
でも、そんなことしていいんだろうか?
即答できる様な簡単な問題じゃない。
返事を渋ってる私に、ママは間髪入れずに捲くし立てる。
「いいわね、絶対産むの! 何がなんでも産むのよ!」
「あ……でも……」
「私に任せておけばいいんだから、ミーメちゃんは安心して子供を産みなさい」
強引過ぎるよ。ママ……そんなのアリなワケ?