この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「あっぶねぇ……」

「……神埼さん、あなたは好きなだけここで食べてなさい。私は先にオフィスに戻ります」

「は……い」


あちゃ~なんか私、橋倉さんを最高に怒らせちゃったみたい。


橋倉さんが社員食堂を出て行くと私は山盛りの豪華なランチを一心不乱に口に運ぶ。


あぁ~最高だ! こんな美味しいご飯食べられるなんて、私はなんて幸せなんだろう。


熱いものが込み上げてきて思わず目頭を押さえる。


あ、コレ、華に食べさせてあげたら喜ぶだろうなぁ……よし! やっぱ、タッパ借りて残りは持って帰ろう。


調理場のカウンター越しに中に居る中年女性に声を掛けた。


「すみませーん、タッパって借りれますか?」

「はぁ? タッパ?」


振り返ったその中年女性と目が合った瞬間、私たち2人は驚きの余り異様な雄叫びをあげた。


「ぬおぉぉぉー! ミーメちゃんじゃない?」

「うおぉぉぉー! 桃ちゃんっすか?」


そう、その中年女性は、かつて私がアルバイトしてたスーパーの惣菜部に居た桃ちゃんだった。


「桃ちゃん、どうしてここに居るの?」


すると桃ちゃんは自慢げにニヤリと笑い、私の耳元に口を近づけ怪しげに呟く。


「実はね、私の料理の腕を買われてここにヘッドハンティングされたのよ」

「ほほーっ! 桃ちゃんスゲー!」


さすが桃ちゃんだ。当時から"揚げ物の桃ちゃん"と呼ばれ、彼女の揚げる天ぷらは一番の売れ筋だったもんな。


すると桃ちゃんが更に体を密着させ小声で話し出す。


「ミーメちゃん、知ってる? この会社に、あの銀ちゃんのそっくりさんが居るんだよ。そりゃ~もう、瓜二つでね……気味悪いくらい似てるのよ」

「へっ……?」


そりゃそーだよ……それ、本人なんだから……



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