この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
なんだか、スッキリ爽やか気分。だから橋倉さんのお小言も笑顔でスルーできた。
そして、何事も無く仕事が終わり、家に帰る道すがら、ふと思う。
あの横田さんって人に、まだちゃんとお礼してなかったなぁ。またお店に来るだろうし、なんか買って帰るか……
でも、所持金は少ない。入った雑貨屋さんで迷いに迷った末、一番高そうに見えるストラップを買った。
こんなモノで悪いけど、お金が無いから仕方ない。
「ただいま~」
「あ、ミーメさん、お帰り~」
珍しくお店に居た華が私に抱きついてきた。
「手、もう痛くない?」
「うん」
華の元気そうな顔を見てホッとしたのも束の間、聞き覚えのある声がした。
「よう、お帰り」
「ゲッ! ぎ、銀、どうしてここに?」
顔面蒼白。全身の血が消えて無くなってしまった様な酷いめまいに襲われる。
「腹が減ったから、お前の言うレストランとやらに来てみたら、どういう訳かおかまバーだった」
「ハハハ……」
新発見! 人間、ホントに困った時は笑ってしまうんだ。
「そして、もう一つ。確か、お前の母親の名前は"はな"だったよな? そこに居るガキンチョの名前も"はな"。
おまけに、腕に包帯巻いてる。全てを踏まえて結論を出すと、そのガキンチョはお前の母親ということになる。随分若い母親だな」
チーン……あぁ~終わった。
「ミーメ! ちゃんと説明しろ!」
もう華のこと隠し切れない。観念した私は真実を言う決心をした。
「この子は……華は……私の娘なの」