この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「おぅ! いいぞ」
アッサリ承諾した銀の手を引き、店の奥に歩き出す華。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ」
"華の部屋"="私の部屋"なんだけど!
狭い6畳間、銀は珍しそうに辺りを見渡し「相変わらずだな……」なんて言いながら、クスッっと笑った。
どうせ、ずーっと貧乏ですよーだ!
「銀様、むさ苦しいとこですが、どーぞお座り下さい」
華がそう言いながら床に置いたのは、彼女の超お気に入りのブタのクッション。普段、私がちょっと踏んづけただけで激怒するのに……こりゃぁ、間違いなく恋だな。
イケメン好みなのは、そっくりそのまま私のDNAだ。
しかし、これは正しく『禁断の恋』なんたって親子だもんな~なんだか華が哀れに見える。
そんなこと全く知らない銀は遠慮することなく、ブタのクッションにドカリと座り、ある一点を凝視してる。
「おい、アレはなんだ?」
銀が指差した先には……あぁ~見られたくなかった。工作センスゼロの私の作品。
「アレはね、パパのお家よ」
「はぁ?」
銀が驚くのも無理はない。それは、ダンボールでてきた手作りの仏壇だったから。
そう……あれは、1年前――
保育園の友達の家に遊びに行った華が、その子の家にあった立派な仏壇に興味を持ったのが、そもそもの始まり。
亡くなったお爺さんのお家だと聞いてきたから、さぁ大変。
「ねぇ、華のパパのお家は無いの?」
「あぁ……うーん」
私はシドロモドロ。
「そんなのパパが可哀想だよ!」
華、パパは可哀想なんかじゃないよ。ピンピン生きてるんだから。でも、それを言うワケにはいかない。