この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
お洒落なカフェで、上品な盛り付けのランチを目の前に私は緊張を隠し切れない。
「で、その族とは、どこで知り合ったんだ?」
「あぁ~…えっと、そうそう! スーパーの駐車場で変な男に絡まれていたとこを助けてくれたんだ」
「それは、いつのことだ?」
「んん……銀が出てって2ヶ月くらいした頃かな」
「たった2ヶ月で男作ったのか?」
よく言うよ! その言葉、そっくりそのまま銀に返してやりたい。
「私のことばっか言うけど、銀はどうなのよ?」
「俺がなんだ?」
「突然ウチに転がり込んで来たと思ったら、好き勝手なことしてあっという間に消えちゃったじゃない」
「俺は透明人間か?」
「な、ワケないっしょ! 真面目に答えてよ」
周りの人達を気遣う余裕もなく、ついデカい声で叫んでた。
「なら、真面目に答える。俺は好き勝手なことはしてねぇよ。勝手なことしてきたのはミーメだろ?」
銀はいつになく真面目な表情でそう言った。
「そんなことないよ」
「男作ってたのに?」
「ち、違う」
「何が違うんだ?」
「それは……」
「いくらミーメが器用でも、お前ひとりでガキは作れねぇだろ?」
頬杖をついた銀のため息が私の心を掻き乱す。
沈黙が支配する気まずさ満点の空気の中、タバコを銜えたた銀が遠い眼をして言う。
「今更こんな話ししても仕方ないな……で、ハナコはどうしてた?」
「あ、あぁ、目が覚めたら銀が居なかったからスネてた。でも、銀が子供好きだったなんて意外だな」
「はぁ? 俺が子供好き?」
「好きなんでしょ? 華といっぱい遊んでくれてたし」
「俺はガキは嫌いだ。自分が子供っていうだけで甘えてるからな。でもな、ハナコは別だ。アイツは根性がある。そして何より俺に惚れてる。男を見る目は完璧だ」
銀の持論は、いつもどこかズレてる。
「それに……ミーメに似てるしな」