この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

「えっ……?」


それって、どういう意味?


何度聞いても銀は答えてくれなかった。それどころか、自分はランチを食べ終わると、とっとと店を出て行ってしまう。


何よ。誘っておいて置いてけぼりって、どーゆーことよ!



     *****


それから銀とは特になんの進展も無く、平穏な日々が続いた。


ただ、時々『エデンの園』に飲みに来てくれて、華の相手をしてくれてる。


華と添い寝し、華が眠るまで何冊も本を読み聞かせてくれたりして……ありがたいことだけど、その本のチョイスに少々問題アリなんだよなぁ~


経済のなんたら、世界情勢のかんたら、小難しい本ばかり。華がその本の内容を理解しているかは不明だ。


そして華が寝付くと『エデンの園』で一杯やるのが恒例になってた。


「銀ちゃん、こっち向いてよぅ」

「やめろ! 俺に近寄るな!」


銀はおかまちゃんが嫌いらしい。


「ナマズみたいなツラで俺を見るな!」

「もう~銀ちゃんたら照れ屋さんっ」

「……おい、もう一回言ったら、本気で殺すぞ」


それでもなんだかんだ言って、ここに来るってことは、結構楽しんでたり?


銀の弾けてる姿をカウンターに座り眺めているとキャサリンママが声を掛けてきた。


「このままでいいの? 銀ちゃんに本当のこと言った方がいいんじゃない?」

「ホントのことか……」

「彼なら大丈夫だって! 華ちゃんのこと、あんなに可愛がってくれてるもの。それに、ミーメちゃんだって彼が好きなんでしょ?」


図星で言葉が出ない。でも、どうしても一歩踏み出すことが出来ない私。


その理由は――


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