卒業【短編】
いつから好きになってたんだろう。
ただの友達だと思っていた。
よく話すけど、ただ楽しい時間を共有するだけの、そんな友達。
顔は好みじゃない。
背だって低いし、頭も良くない。
よく考えてみると、全然タイプじゃない。
でも、気づいたらもう戻れないところまで来ていた。
卒業しちゃうのに。
東京行っちゃうのに。
彼女、いるのに。
笑ったときのえくぼが忘れられない。
楽しそうに話す横顔が忘れられない。
嬉しそうに彼女のことを話す、あの照れた顔が忘れられない。
だから、卒業と一緒にこの気持ちも終わらせようと思う。