卒業【短編】
でも、気持ちをちゃんと伝えてから卒業したい。
だから、私は彼を呼び出した。
「お前とも離れちゃうんだな、すげー寂しい」
そんなこと言わないで。
「でも、卒業してからもクラス会あるしまた会えるの楽しみにしてるよ」
そんなこと、思ってないくせに。
「そんな寂しそうな顔すんなって。ほら、彼女もこっちに残るし時々遊びに来るからさ」
やっぱり彼女が一番。
どんなに頑張ってももう届かない。
「うん。私も会えるの楽しみにしてる。ただ、ありがとう、元気でねって伝えたかった」
私の意気地無し。
ただ「好きだった」。
そう言えばいいのに。
今日は気持ちを卒業させるって決めたのに。
「そっか。じゃあ、またな」
「元気でね、バイバイ」
困らせたくなかった。
意気地無し。