卒業【短編】



でも、気持ちをちゃんと伝えてから卒業したい。


だから、私は彼を呼び出した。



「お前とも離れちゃうんだな、すげー寂しい」


そんなこと言わないで。



「でも、卒業してからもクラス会あるしまた会えるの楽しみにしてるよ」


そんなこと、思ってないくせに。


「そんな寂しそうな顔すんなって。ほら、彼女もこっちに残るし時々遊びに来るからさ」


やっぱり彼女が一番。
どんなに頑張ってももう届かない。


「うん。私も会えるの楽しみにしてる。ただ、ありがとう、元気でねって伝えたかった」



私の意気地無し。

ただ「好きだった」。

そう言えばいいのに。
今日は気持ちを卒業させるって決めたのに。


「そっか。じゃあ、またな」


「元気でね、バイバイ」



困らせたくなかった。


意気地無し。


< 3 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop