actually
「・・・ん。」
さっきまで揺られていた感覚が何となくあったのにそれがなくなった
それに違和感を感じて重い瞼をあけると、どうやら車が止まったようだ
「あ、ウミおはよー」
「おはようございます、・・・アキさん」
一瞬名前が出てこなかったのは許してほしい
元から人の名前を覚えるのは苦手なのだ
「もうすぐ家だから。それつけた方がいいんじゃない?」
助手席からこちらを覗くようにして声をかけてきたソラさん
どうやら私が寝ている(正しくは気絶していた)間に目を覚ましたらしい
「それって、これ?」
「そう、それ」
それはダークブラウンの毛の塊(世間一般ではウィッグと呼ぶ)
若干ぐちゃぐちゃになりすぎてどうなっているのかよく分からない
「貸してみろ」
そう言ってハルさんにウィッグを奪われた
するとあっという間にウィッグを整えて頭につけてくれた
ウィッグは肩につくくらいの長さだった
どうりでぐちゃぐちゃになっていた訳だ
「ありがとうございます・・・・なんか手慣れてません?」