actually
二人はエレベーターに乗り込むと受付嬢に言われた15階のボタンを押す
すると生田目は少し恥ずかしそうにしながら山田にはなしかけた
「や、山田さん。私緊張のあまりお手洗いに行きたくなってしまったのですが・・・」
そんな生田目に小さくため息をつく
「全くお前は・・・。確か私が前、営業しに来たときトイレは15階に無かったぞ?40階辺りにでも行ってみたらどうだ?」
そう提案しながらも山田は既に40というボタンを押していた
「あ、ありがとうございます。出来るだけ早くに合流します」
その言葉のあとすぐにエレベーターが目的の階に着いたことを知らせる音がなる
「じゃ、道に迷わないようにな」
山田はそう言うとエレベーターから降り商談へと向かっていった。
そしてすぐにエレベーターのドアは閉まり、再び目的の階へと乗客を運ぶ
生田目は何処か浮かない顔をしている
そんなことは露知らず、エレベーターは40階に到着
しかし、現在地を知らせる光りは明らかに40階を示しているにも関わらずドアが開く気配はない
「....あれ、どうしちゃったんだろう」
エレベーターのドアを二回強めに叩く
それでも開かないので、ボタンを押してみる
一番上の階にあたる92階と防犯システムの中枢である50階のボタン
するとドアは何事も無かったかのように開いた。
「わー、開いてよかった!トイレ、トイレ~」
なんの変哲もない階だが、不思議と人の気配はない。
トイレを探しながらフラフラと歩く生田目
ぐるりとその階を一周してみるも目的の場所は見当たらない
「やっぱり無いかぁ」
小さく呟くと、耳の、営業の者にしては少し大きめなピアスに触れながらもう一度言葉を繰り返す
「トイレ無い・・・了解」
すると少しキョロキョロしながら歩きはじめ突然ピタリと止まった