月に潜む恋情

今日は私の、記念すべき? 30回目の誕生日。
彼からの連絡を待ち、携帯を片手にベランダへ出た。


暗くなった空には、綺麗な月が出ていた。
ベランダにもたれかかりその月を眺めていると、携帯が震えだす。


「もしもし。うん、私。……そう……仕事じゃ無理いえないもんね。
 ……うん、待ってる。……またね」


仕事で今晩は行けそうもない。この埋め合わせは後日必ず。また連絡する。
たったそれだけ……。


特に悪びれる様子もなく、淡々と喋って電話を一方的に切った。
本当に仕事かどうか……。分かったもんじゃない。


フフッと、疑いの笑が漏れる。


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