かけぬける青空は、きっと君とつながっている
すると、とっさに謝ったあたしとは反対に、軽く口の端を上げた間宮さんはそう言う。
続けて。
「見たことがないからいまいち想像できないけど、実際に見たら、お前みたいにずっと覚えていたり自分でも調べたりするかもしんないな」
「……そ、そうですよ!見ましょう、満月!」
「調子よすぎだ、アホ」
「あは。すみません」
“けっこう不気味"は余計だけれど、どうやらさっきの表情は、赤い満月を想像しようとしたもののうまくいかなかったためらしい。
気持ち悪がられたり、引かれたわけではないのだと分かって調子に乗って誘ってみると、案の定、アホと笑われてしまった。
けれど。
「……ただ、な」
「はい?」
そこで不自然に言葉を区切った間宮さんは、あたしの能天気な返事とは違って、とたんに神妙な顔つきになると顔をそむけてしまう。
何か気に障ることでも言ってしまったのではないかと、否応なしに胸がざわつく。
と……。
「俺、夜の海っつーか、海そのものがあんまり好きじゃないんだよ。赤い満月には興味あるけど、見に行くのはちょっと勘弁かもしんない」
「……」
口を開いた間宮さんが、静かに語った。