かけぬける青空は、きっと君とつながっている
間宮さんは民宿の大事なお客さんだ。
もしも無理に聞き出そうとして今までの関係を壊してしまうようなことになったら、ふらっとどころか、すぐに出て行かれてしまう。
……踏み込んではいけないのだ。
この気持ちが間宮さんを思ってのことか、切迫している民宿の現状を考えてのことか、それとも、間宮さんにまだいてほしいというあたし自身のわがままから来るものなのか。
今は判断が難しいけれど、心に言い聞かせる。
あたしが踏み込むべきじゃない、と。
「2人とも、ご飯できたよ!」
そうしていると、お母さんが台所のほうからあたしたちを呼ぶ声でハッと我に返った。
間宮さんと階段を降りていけば、台所のテーブルには所狭しと料理が並べられていて、それだけでなんだか嬉しくて、胸が熱くなる。
「いただきまーす!」
「いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
4人でテーブルを囲んで、手を合わせる。
食事の間も、お母さんとおばあちゃんは、味付けが濃いだの薄いだの、と何かと言い合っていたのだけれど、そんな空間さえ、あたしにはすごく特別なもので、幸せな時間だった。
間宮さんと見る約束をした満月は、5日後だ。