かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「間宮さん、そろそろお昼にしませんか? ひやむぎだそうなので、下で待ってましょうー」
「んー」
潮風の間のドアをノックして声をかけると、すぐに間延びした声が返ってきた。
少し待つとTシャツにハーフパンツ姿の間宮さんが出てきて、一緒に台所へ向かう。
「そういや昨日さ、風呂上がりにお前の母親とばったり会ったんだけど、なんか、ただニヤニヤ見られたんだよ。一体何なの?」
「……さ、さあ」
「なんか変じゃね?」
「あれですかね、久しぶりの実家だし、年甲斐もなくはしゃいでいるんじゃないですかね」
「ふーん」
「あは、あはは……」
まさか、間宮さんとの仲を取り持とうとしているなどと言えるわけもなく、内心、何やってんのよお母さん!とヒヤヒヤしながら、適当な理由をつけて笑ってごまかす。
だいたい、間宮さんとは、お母さんが想像しているような間柄ではないのだ。
あたし本人でさえ気持ちの落ち着き場所が分からないというのに、勝手にそっち方面の想像を膨らませないでもらえないだろうか。
……気になる存在ではあるけれど、それがどんな感情で気になっているのか、あたしはまだ、うまく答えが導き出せずにいるのだから。