かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
すると間宮さんは、数秒、考えるような仕草をして、坂の下に広がる青い海を見つめながら、補足を交えてこう言ってくれる。


「……いや、俺の仲間にもひとり、お前みたいな奴がいたんだけど、背負い込みすぎっつーか、周りに合わせすぎっつーか、いつかどうにかなってしまいそうな危うさがあってさ」

「はあ……」

「ま、気を使うな、ってことだ」

「なるほど、です」

「ん」


間宮さんの気遣いは嬉しかったのだけれど、また出てきた“仲間”のことが気になり、あたしの返事は、なんだか上の空だった。

踏み込んではいけないことは重々承知しているものの、あたしの頭の中では様々な想像ばかりが先に立ってしまって、こうしてたびたび間宮さんの人となりを聞かされると、勉強どころの気分ではなくなるのも、正直なところだ。

お母さんに、勉強が進んでいないようだ、と言われてしまったのも、それに起因しているように思っていて、ふと気づくと、ノートやテキストを机に広げたまま、ぼーっとしている時間が増えているように感じている。


この感情は、一体、何なのだろう……。

まだまだ、はっきりとした名前がつけられそうにない、こういった複雑な気持ちを、ここ最近のあたしはだいぶ持て余している。
 
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