かけぬける青空は、きっと君とつながっている
そうして、何度か小休憩を挟みながら課題をこなしていくと、ふと、プリントに写るあたしの顔の影が長くなっていることに気づく。
顔を上げると、木々の間からオレンジ色の夕日が顔をのぞかせていて、その光りが思いのほか目に染み、思わず目を細める。
「ああ、もう夕方か……」
「そうみたいですね」
間宮さんもまた、同じく眩しい夕日に目を細めていて、あたしが課題をこなしている片手間に読んでいた文庫本をぱたりと閉じた。
そろそろ民宿に帰る時間だ。
晩ご飯の支度を手伝わなくちゃ。
「帰るか」
「はい。今日はしょうが焼き定食らしいです」
「お。久しぶりの肉」
間宮さんが文庫本を棚に戻しに行っている間に帰る支度を整え、一緒に図書館を出る。
途中、図書館に来るときに言ったことを思い出し、せめて今日のお礼をさせてほしい、と史料館に寄ろうと申し出たのだけれど、間宮さんは「どうせ柚子シャーベットだろ」と取り合ってはくれず、スタスタと先を行ってしまう。
その歩幅の大きいこと、大きいこと。
「待ってくださいよ……っ!」
「知らん。モタモタすんな」
「……」
どれだけお礼をされたくないのだろう、と、思わず呆れてしまうほどの頑ななまでの拒否ぶりに、何も言葉が出ないあたしだった。