かけぬける青空は、きっと君とつながっている
思わぬ至近距離に一瞬ドキリとしたものの、カツオが入った袋を落としたことをすっかり忘れていたあたしは、そう指摘され、違う意味でまたドキリとしてしまった。
とりあえず、間宮さんには談話スペースで少しだけ待ってもらうことにして、カツオを冷蔵庫に入れるため、いそいそと台所に入る。
そこにはおばあちゃんの姿はなかったけれど、お勝手口の戸が少し開いていたから、裏の畑に野菜を取りに行っているのだと思った。
間宮さんがいくら声をかけても誰も出てこなかったのも、これで頷ける。
それにしても、あたしってほんと鈍くさい……。
おばあちゃんの趣味は野菜作り。
それと、押し花。
裏の畑で作った野菜をお客さんの食事に出したり、お礼のハガキに添える花を季節ごとに育てていて、今だと、野菜はナスにキュウリ、トマトやトウモロコシといった夏野菜。
花は、朝顔やひまわりがとっても綺麗だ。
「それでは、改めてご案内しますね。『潮風の間』は、階段を上ってすぐのお部屋です。窓からは海も見えますよ」
「へぇ」
間宮さんが待っている談話スペースに戻り、さっそく案内の続きに取りかかる。