かけぬける青空は、きっと君とつながっている
それでも、なんとなく分かるのは、間宮さんの意地悪な言葉の節々には、きちんとした優しさがあって、けして、傷つけようと思ってのことだったり、嫌いだから意地悪を言う、という、裏があるわけではない、ということだ。
ときには誤解をされてしまうような鋭さはあるかもしれないけれど、一度、その優しさに触れてしまえば、誤解のしようもない。
可愛らしい、というか、憎めないあまのじゃくさん、という感じで、これもまた、間宮さんの魅力のひとつなのだろうと思う。
あたしはそう、解釈をしている。
「そういえば、明日は満月を見に行く約束の日でしたよね。ここ何日かは、夜は曇りでしたけど、晴れる予報だそうですよ、明日は」
間宮さんに小走りで追いつき、横に並ぶ。
相変わらず、間宮さんは歩幅を狭めるようなことはしてくれず、おまけに「あっそ」なんていう素っ気ない相づちを打ってくるのだけれど、あたしは、勉強をしているときに、ちらりと横目に入ったから、知っている。
間宮さんが勉強を教える片手間に読んでいたのは、月に関する本だった、ということを。
もしかしたら、勉強を教えてもいい、と言ってくれたのは、月に関する本を読んでみてもいいと思ってのことだったのかもしれない。