かけぬける青空は、きっと君とつながっている

午前0時、砂浜

 
夜の浜辺は、波の音だけが静かに寄せては返しを繰り返しているだけで、ほかには、フクロウやコウモリといった夜の鳥たちの声が遠くの山からときおり聞こえてくるだけだった。

そんな静かな夜に、ザクザクと砂を踏みしめながら歩く足音が2つ、間宮さんとあたしだ。


「予報通り、晴れてよかったですね。見てくださいよ、雲一つない月夜です!赤い満月じゃないのが少し残念ですけど、綺麗ですね」

「そうだな。こんなにでっかい満月を見たのは生まれて初めてかもしれない。明るいな」

「ですね」


間宮さんが言った通り、今日の満月は、空から落ちてしまうんじゃないかと思うほど大きく、また、太陽の光を反射して輝くという月明かりも、月の大きさに比例してまばゆいばかりだ。

町のほうからの明かりはほとんど届いていないというのに、間宮さんの顔がはっきりと見えるのだから、相当明るい満月なのだろう。

綺麗、としか表現のしようがない。


「わぁ……ほんと、綺麗。月の光りが海面に反射していて、まるで宝石みたいです」

「メルヘンなことを言うな。サムいわ」

「……すみません」


そして、キラキラと海面に反射する月の光りは本当に宝石のようなのだけれど、メルヘンな表現は間宮さんには嫌がられてしまって、惨敗。
 
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