かけぬける青空は、きっと君とつながっている
こんな様子だと、月の雑学を語るどころの気分ではないのが実際のところで、つつつ……と何気に間宮さんとの距離も取ってしまうあたり、あたしだけ、なんだかバカみたいだ。
だからといって、何も話さないのも、それはそれで、かなりおかしいのは分かっている。
「夜風が気持ちいいですねー」
「無風だろ」
「う。波打ち際に魚とか泳いでいませんかね」
「せいぜいワカメだろ」
「……、……」
「アホすぎる」
だから、なんとか無言になる時間が続くのだけは避けたいと思って、いろいろと世間話を振ってみたのだけれど、ことごとく裏目に出てしまい、間宮さんには呆れられてしまった。
間宮さんの言う通り、アホすぎる、あたし……。
「お前な、別に2人で夜に出かけたからって、何かあるわけじゃないんだぞ。1人で勝手にドキドキしているふうな感じとか、やめろ」
すると、間宮さんは大きくため息をついてそう言い、1人で浜辺を歩きはじめてしまった。
いつもなら「待ってくださいよ!」と追いかけるのが常なあたしなのだけれど、このときばかりは、恥ずかしすぎる自分の態度に、間宮さんを追いかけることは自重する。