かけぬける青空は、きっと君とつながっている
でも、どうしよう、貝殻集めをやめたら、何もすることがなくなってしまう……。
いやいや、本来は、赤い満月が見られるかもしれない、ということで、こうしてお月見をしに来たわけだから、貝殻を集めるほうがメインになってしまっては、いけない。
月の雑学だって、まだ語っていないし。
「じゃあ、もう終わりにしますね。ありがとうございました。貸してください、持ちます」
「当たり前だ」
そうして、渋々ながらも貝殻集めをやめたあたしは、間宮さんの手のひらにあった十数個の貝殻を広げたハンカチに移してもらう。
それを、お弁当を包むようにして端を結び、壊れないように注意しながらバッグにしまった。
「……」
「……、……」
すると、とたんに訪れる、沈黙。
う……。
だから、貝殻集めをやめるのは嫌だったのに。
相変わらず満月は柔らかな光りを放ち続け、それを反射する海は、穏やかそのもの。
規則正しい波のリズムが耳に心地よく、また、遠くの山のほうでときおり鳴く鳥の声も、波の音に混じって聞こえて、天然の音楽みたいだ。
ただ、あたしだけは、なかなか気持ちが静まってくれないのが現状のようで、このままでもいいかもしれない、と考えを改めた矢先ではあるのだけれど、間宮さんの顔が見られない。