かけぬける青空は、きっと君とつながっている
●4th.BLUE
2人の駆け落ち
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あれから数日が過ぎ、夏休みも、あと残り10日を切り、いよいよあたしは、夏休みの課題の追い込みにかかっていて、参考書や教科書とにらめっこをしながら机に向かっていた。
ここ数日での変化は、これといってない。
間宮さんは相変わらず朝10時を過ぎても台所に下りてこず、起こしに行っては、寝起きで不機嫌全開の顔であれこれと小言を言われ、けれど朝食を食べている間に部屋の掃除を済ます、という、ほぼ日常となりつつある光景だった。
「間宮さん、もう日が高いですよ、起きてください。朝ご飯の用意もできていますし、部屋の掃除もさせてください。おーい、間宮さーん」
「ああ、もう、うっさい。食うったら」
「へいへい、お願いします」
「机は触るなよ」
「……分かってますよ」
今日も今日とて、いつもの朝のやり取りをし、寝ぼけた様子で階段を下りていく間宮さんの後ろ姿を、ほんっと危なっかしいなあ、もう……などと小姑のように思いながら、掃除用具を片手に、やっと『潮風の間』の掃除に取りかかる。
あれほどきつく“好きにはなるな”というニュアンスの境界線を張られたというのに、あたしは不思議と、傷ついたと思うことはなかった。