かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「……よいしょ、っと」
部屋の掃除を終え、だいぶ年季の入った、やたら重い掃除機を持って『潮風の間』を出る。
触るな、と言われた机の上は、もちろんそのままにしておいたのだけれど、日々少しずつ片付いていく様子に、一抹の不安が拭えない。
いずれ出ていく、それは近そうだ、と分かっていながら、机の上の変化にどうしようもなく胸が締めつけられるのは、おかしいだろうか。
机の上にいくつも並べられている写真立ては、あたしが掃除に部屋に入ったときには、いつも綺麗に伏せられていて、それが、机には触るなと言う間宮さんの秘密なのだと思う。
ただ、知らないほうがいい、と思うのも本当の気持ちで、伏せられた写真立てを見て見ぬふりをし、今日も掃除を終えたのだった。
「あれ、なんだろう……」
すると、ポケットの中の携帯がブーブーと震えていることに気づき、掃除用具を置く。
掃除機の音に紛れてしまっていたり、せわしなく動いていたこともあって、今まで気づかなかったのだけれど、どうやら着信は電話らしく、一向に止まる気配のない電話に不審に思う。
「もしもし……?」
「あ、やっと繋がった。俺、春人」
「ハル。どうしたの?」
「うん……」