かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
「え、駆け落ちってどういうこと!? 香ちゃんもいるんだよね!? ちょっと代わってよ!」


けれど、駆け落ち、という衝撃すぎる言葉の前に、いくらなんでも理由を聞かないわけにはいかず、さっきよりもさらに力がこもる手にもう一方の手も添え、早口でまくし立てる。

何がどうなって、駆け落ちに行き着いたのか。

花火大会のあとから会っていなかった、ほんの少しの間に、一体、何があったというの……。


「いや、ごめん。詳しく話している時間はないんだ。もしも俺や香の家族が、何か知らないかって聞きに来ても、菜月は、知らない、ってしらを切ってほしくて頼んでる。あとから知ったら心配すると思って、一応、電話した。俺たちは大丈夫だから。それじゃあ、よろしく」

「ちょ、ハル……!?」


それでも、ハルもハルで、かなり切羽詰まっているようで、早口で要件を伝えると、あたしの呼びかけもむなしく、通話は切断される。

耳に当てたまま離せずにいる携帯からは、ツーツーと無機質な機械音がするだけで、それがかえって、あらゆる不安を無限にかき立て、どうしよう……どうしよう、と気ばかりを焦らせた。


「おい、邪魔」

「あっ、間宮さん……っ!大変なんです!ハルと香ちゃんがっ!か、駆け落ちを……!」
 
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