かけぬける青空は、きっと君とつながっている
そのうち、窓の外の景色は、海沿いから緑の田んぼが山のほうまで続くような、のどかな田園風景に変わっていき、もうしばらくすると、遠くのほうにビルやマンションが立ち並ぶ都会的な景色へと、徐々に変わっていった。
もうすぐ乗り換えの駅に着く。
果たして2人がこちら方面に来たかは定かではないけれど、電車に揺られている間に、ハルが
「もうすぐ香の誕生日だから、好きなところに連れて行ってやりたい」と言っていたのを新たに思い出したあたしは、動物園か、その付近に行ったのでは、と推測を立てていた。
動物園なら県内にもあるけれど、残念ながら、キリンの赤ちゃんは産まれていない。
ハルがそう言っていた。
ゆえに、香ちゃんが見たいのは、隣の県の動物園で産まれたキリンの赤ちゃんで、ハルは、もうすぐ誕生日を迎える香ちゃんに“駆け落ち”をプレゼントすることにしたと、さしずめ、そういったところのように思う。
昼間のうちは、駆け落ちをしている身ではありつつも、普通にデートを楽しんでいる可能性が高いのでは、と間宮さんも言っていて、それはあたしも同じように感じている。
夜になるまでが勝負だ。
「間宮さん、行きましょう」
「おう」
電車のドアが、ゆっくりと開いた。