かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「お。ここだな。この広場からだと、反時計回りに進んでいけば、わりとすぐだと思う」
「ですね」
間宮さんがキリン舎の場所を見つけてくれ、あたしたちは、さっそくそちらへ向かう。
反時計回りのルートは、この動物園ではややイレギュラーな回り方なようで、すれ違う人、すれ違う人、みな一様に広場を目指している。
あたしたちと同じ時間に園に入っていった人を見ても、あと1時間で閉園、という限られた中ではあっても時計回りに進んでいて、それは、帰ろうとしているだけではないのが窺えた。
「みんな、帰っていきますね……。もしも2人がキリン舎のところにいるとして、帰る場所を捨ててきた2人が、帰る場所がある人たちを見送るって、どんな気持ちなんでしょうか」
「くだらん。歩け」
「はい……っ」
夕暮れのせいだろうか。
なんとも切ない気持ちになり、すれ違ったカップルを振り向き、間宮さんに問うと、その間宮さんは、歩くスピードをいっそう速め、あたしのくだらない質問を一刀両断する。
ほんと、くだらない。
すでに数メートルの距離が空いてしまった間宮さんから、これ以上は離されまいと小走りでついていきながら、とにかく2人を見つけることが先だ、あたしがしっかりしなくてどうする、と、再び頭を切り替える。