かけぬける青空は、きっと君とつながっている
なんて表現したらいいのだろうか、こう……心の中が、ほんわり温かくなる。
それは、間宮さんが持つ独特の雰囲気と、会話の端々に必ず付ける「バーカ」が、とても噛み合っているからなように感じるあたしだ。
間宮さんの背中は、とても心地いい。
おぶってもらっているのをいいことに、間宮さんの首に回している自分の腕に少し力を入れ、間宮さんとの密着度をわずかに上げる。
「お前、くっつきすぎ」
「えー、そんなことありませんよ」
「……。……はあ。好きにしろ。バーカ」
すると間宮さんは、諦めたように小さくため息をつくと、ぼそりとそう言い、あたしはそれにかこつけて、何度目とも分からない「バーカ」で心の中をほんわり温かくしながら、民宿の玄関先で下ろしてもらったのだった。
「何か食えるようだったら、食ってから寝ろ。俺は疲れた。もう寝る」
「はい。本当にありがとうございました」
ひらひらと後ろ手で手を振りながら階段を上がっていく間宮さんに、ぺこりと一礼する。
間宮さんへのお礼は、また明日、改めて言うとして、長く、濃密だった1日がようやく終わりそうな気配が漂いはじめた、午前1時。
先に民宿に戻っていたお母さんが用意してくれたお粥を食べながら、しみじみ、間宮さんがいてくれてよかった、と思うあたしだった。