かけぬける青空は、きっと君とつながっている
そう、ぼそぼそと声が聞こえ、すぐに、あたしのことを言っているのだと悟る。
間宮さんの表情は、こちらのほうへは背中を向けていて、なおかつ、ほんの少ししかドアが開いていないため、窺い知ることはできない。
けれど、怒っているような、それでも、どこかほっとし、愛ある“バカ”と言っているような語り口からは、おそらく間宮さんの口元は少し緩んでいるだろう、そんな印象を受けた。
またあたしをバカって言って……などと、いつものあまのじゃくぶりが、なんだか微笑ましい。
しかし、そんな光景も、ほんの一瞬だった。
はあ……と大きくため息をついた間宮さんは、部屋に備え付けの小さな机に突っ伏すと、ときおり声を詰まらせながら言うのだ。
「マジ、死んだらどうしようかと、思った……。生きててくれて……本当によかった」
その涙声を聞いて、肩を震わせる姿を見て、あたしは、間宮さんも普通の20歳の人間なのだ、とはっとしたのと同時に、なんて自分は罪深いことをしてしまったのだろう……と改めて思い知らされ、また、大きな罪悪感にさいなまれた。
きっと、ハルと香ちゃんの無事を確認して気が抜け、あたしが倒れてしまった、わずか十数分の間のことを言っているのだろうと思う。