かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
布団に潜っても当然ながら眠れず、頭の中や心の中を占めるのは、今にも崩れ去ってしまいそうな、間宮さんのか弱い背中だけだ。

そして、徐々に確信めいていくのは、間宮さんは、友人、家族、恋人などの近しい人を亡くしてしまった、という過去を背負っていて、その最たるものが、会話の中でときおり引き合いに出す“仲間”なのではないか、ということ。


間宮さんが民宿に泊まりはじめた当初に、昼間の展望台で打ち上げた、あの花火。

ハルたちと4人で行った花火大会の日に少し話してくれた、間宮さんの“仲間”のこと。

お母さんがあたしを家に連れ戻そうと民宿にやってきた日、階段の上で話してくれた、大学を辞めた理由や、満月を見に行った日、夜の浜辺で語った“本当の暗闇”というキーワード。

そして、決定的だったのが、さっきだ。


間宮さんはおそらく、自分の目の前で人が倒れたり、何か普段と違う状態になることを極端に嫌がっていて、また、恐怖を感じている。

真っ暗闇の夜を体験し、トラウマになったのと同じく、それもまた、あんなにも肩を震わせて泣くくらい、トラウマなのだろうと思う。

だったら、不眠症なのも頷ける、というもの。
 
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