かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
それからは、一睡もできなかった。

あの未曽有の大震災から、少しずつ日々は移ろいでゆき、一見、現在は落ち着きを取り戻しつつあるように感じていたのだけれど、震災を体験した多くの人には、今もなお、けして終わってはいないことを、間宮さんを通じて知る。


どこか他人事に思っていないだろうか。

いつの間にか、忘れてはいないだろうか。

自分自身に問いかける。


「……ひどい人間だ、あたしは」


電気も水道もガスも何不自由なく使え、食べたいものを食べ、ほしいものを買い、清潔な体を保ち、プライバシーを侵されることなどない自分の部屋を持ち、震災前と少しも変わらない毎日を過ごしていることに気づき、愕然とする。

日本中がひとつになって震災を乗り越えていこう、その気持ちは、どこに行ったのだろう……。

震災のニュースは日々少なくなってきていて、今は、被災地から届く明るいニュースや、反対に、原発問題や仮説住宅の問題、漁業、土地整備や高台移転などの、震災後の人々の現状を伝える話題が多くなってきている。


けして風化させてはいけない。

テレビを通して被災地の状況を目にし、そう思ったのは、紛れもなくあたしなのに……。
 
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