かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
お母さんがここへ来た当初は、日帰りのつもりだったため、荷物はほとんどなかった。

けれど、なんだかんだと滞在しているうちに、荷物は徐々に増えていき、たまたまスーツケースも宿にあり、こうしてあたしも、荷物持ちとして見送りに行くことになったのだ。


「本当は菜月を連れ戻しに来て、すぐに帰るはずだったのに、どうして重たい紙袋を抱えることになったのかしらね。まったく……」


追いつくと、お母さんはそう、悪態をつく。

それでも、言わずもがな口元は嬉しそうにほころんでいて、それは、おばあちゃんが嬉しいときになる口元と一緒で、親子だなぁと思う。


「でも、よかったの? 荷物を持ってもらえるのは助かるけど、体もそんなに元気じゃないでしょう、菜月。無理しなくてよかったのよ」

「ご飯食べたら元気になったし、いつも通りの生活をしたほうが、かえって調子がいいの」

「そう」


お母さんに言ったことは、半分本当で、残り半分は、心配をかけさせたくないための嘘だ。

ご飯を食べたら元気になってきたのは本当なのだけれど、今から眠れそうな感じは、やはりしなく、間宮さんのお世話も、あたしがやらないと、なんていう妙な責任感もあった。
 
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